「ガラス細工を作らない」
「Robustなアウトプットを作る」
という意識をすることが有用なことがある。
ガラス細工とは何か?Robustとはどのようなものか?少し書き残してみたい。
ガラス細工とは
ここでいうガラス細工とは、
「繊細で、ちょっと触るとすぐに壊れてしまうようなアウトプット」
を意味する。
「ちょっと触るとすぐに壊れてしまう」とはどういうことだろうか?
仕事では、人が作るアウトプットは得てして、複数の人(上司、同僚、友人、部下等)のフィードバック(評価・添削・批判・反発・歓迎等)を受ける。
すなわち、アウトプットは大抵、「第三者が触る」ことになる。
関係者から何かしらフィードバックを受けるとき、そのアウトプットが繊細なガラス細工だと何が起こるだろうか。
少しいじっただけで、そのアイディアやロジックはもろくも崩壊し、日の目を浴びずに死んでしまう。あるいは、まったく別のものに形を変えてしまう。
よく、「意見の角が取れる」といった言い方をするが、複数人でアウトプットをレビューする以上、多かれ少なかれ「角を取る」作業は不可避的に発生する。
それゆえ、角が多少取れても問題ないくらいの頑健さがないといけない。
そうでないと、そのアウトプットはガラス細工として、本来であれば何か社会の役に立つこともあったかもしれないのに、不幸にして、ゴールのはるか手前で絶命してしまうことになる。
なぜガラス細工になってしまうのか
わざわざガラス細工を作ろうと思う人はほとんど存在しないように思われる。
ガラス細工は「ついうっかり作ってしまうもの」であり、「ガラス細工は作らないぞ」と念じても何も変わらない。
そのため、アウトプットがガラス細工になってしまいがちな構造と、その原因を理解する必要がある。
- ひとりよがり・・・自分の思いを自分が感じたままに書きなぐったアウトプットは、たいていガラス細工の域を脱していない。
そのため、少し上司や顧客の目に触れたら、あっさりと崩壊・変容してしまうことが多い。
- 第三者の目による試練をくぐりぬけていない・・・友人や外部専門家のレビューを受けることを怠ったアウトプットも同じくガラス細工となりがち。
誰かに見てもらうことは怖いが、結局どこかでは第三者の目にさらさずを得ない。
- ロジックが綱渡り・・・
アウトプットは得てしてロジックの集合体。様々な仮定・経緯・前提・推測等が鎖のようにつなぎ合わされて形成されている。
このとき、ロジックが頑健でないと(例:無茶な仮定、事実に基づかない推測等)、どうしても全体としてのアウトプットもガラス細工になってしまう。
その結果、ロジックの弱いところをちょっと突かれただけですぐに変なことになってしまう。
ガラス細工を回避するためのtips
- 早めに第三者の目にさらす・・・
自分で詰め切ってしまう前に、早めに第三者に共有し、多方面からフィードバックをもらうと良い。
そうすることで、想定の範囲を超えたのコメントが得られ、そのアウトプットは頑健性を強めることができる。
- 途中でちょっと第三者にパスしてみる・・・自分一人で考えた崇高なアイディアなども、途中で勇気をもって同僚や後輩などに託してみると良い。
そうすることで、その第三者が彼/彼女なりの感性でそのアウトプットを良くも悪くも「もみくちゃに」することになるが、その結果としてあなたのアウトプットは頑健性を増す。
- 説明やプレゼンを第三者に委ねる・・・得てして、自分が作ったアウトプットは自分が説明することが多い。
これは、「第三者が、自分の意図やニュアンスとはちょっとズレたことを言ってしまい、アウトプットが崩れるリスク」がない一方で、独りよがりリスクを高める懸念がある。
もしアウトプットに多少でも頑健性を求める場合には、あえて部下等に説明を託してしまった方が、そのアウトプットの生命力が高まることが多い。