2013-03-02

Friendly negotiation, Hostile negotiation

最近、交渉を"Friendly negotiation"と"Hostile negotiation"という区分で分けると、わりと腑に落ちるのではないかと思うようになってきたのでメモ。




Friendly negotiation

ここで言うFriendly negotiationとは以下のような交渉スタイル:


  • 交渉相手と一緒に、双方がより良いポジションに到達するべく、「うまいおとしどころを共に発見する」ためのプロセス
  • 当事者双方が、自分達の目標や優先順位をよく理解できているときに達成しやすい
  • 交渉参加者は、それぞれの目標達成を重視し、その途中経過に必要以上にこだわらない。
  • ひとつの論点で譲歩することは、全体において自分にとってより良い結果を得るための途中経過
  • それぞれの論点について、自分にとってのメリデメのみならず、相手にとってのメリデメも配慮する。その結果、お互い、「ここを譲歩しても自分にはデメリットが小さいが、相手にとってメリットが大きい」というところは譲歩する
  • Pros:
    • 結果的に、双方比較的大きな満足感が得られる
    • 摩擦が小さくなるので、交渉妥結までの所要時間も短くなり、「土壇場で適当に妥協してしまう」ということが減る
  • Cons:
    • 後述するHostile negotiationと比較して、各論を積み上げて比較すると、やや「譲り過ぎ」になってしまうことも
    • 自分にとって「大事のためには失ってもいい小事」については結構イージーに、というかむしろ積極的に譲歩することもあるため、上司や同僚がHostile Negotiationしか知らないと、手ぬるいと批判されて過小評価されることも

Hostile Negotiation


  • 交渉相手のことを信頼できていないか、あるいは交渉が互恵的なものであるという思想を持たない人は、基本的にこの交渉スタイルしかもたない
  • 交渉当事者が、達成すべき目標を明確に持ち合わせていないとき、あるいは「Status Quoと比較して、一歩も譲歩せず、少しでも譲歩を勝ち取る」という現状改善が目的である場合に採用される交渉スタイル
  • 今より一歩でも譲歩を勝ち取ることが主眼となるので、論点は個別論点の組み合わせとして捉えられて、それぞれの論点についてガチンコで相手を打ち負かそうという発想になる。「Aを勝ち取るためには、Bは譲歩してオッケー」という発想は敬遠される
  • ひとつでも譲歩したら、それは負けあるいは弱腰を意味する
  • Pros:
    • 結果的にFriendly Negotiationよりガシガシやることになるので、相対的に交渉を優位に終わらせることができるかもしれない
    • 全体の論理性にさほどこだわらず、それぞれの論点での局地戦となるので、結果的に、あとで振り返って「よくこんな無茶が通ったなぁ」というような結果になることが多い
  • Cons:
    • 時間がかかる
    • 個別論点ごとの議論になってしまうので、全体を見るとツギハギだったり、肝心なところで勝ちいれていなかったりと、全体非最適になることも
    • 交渉相手との信頼関係は壊れやすいので、これから何か一緒にやろうという相手とはHostile Negotiationばかりするのは注意