2013-10-30

リフレ―ミングのすすめ

ストレスに対し、悪口を言ったり相手に正面から文句を言うのもいいけれど、場合によってはちょっとした工夫でストレス解放できるかも、という話。


世の中辛いことだらけだが、正面突破はムズカシイ

仕事なんてしていると、毎日毎日いろいろなことがあり、ストレスにさいなまれたりする。やれ上司が使えない、やれ他の部署から仕事をたらい回しにされる、やれ部下が刃向ってくる、やれ印刷したら紙詰まりetc...

そういうとき、どうやってそのストレスを解消すればいいだろうか。上司に正面切って反論する?彼女や妻に愚痴を言う?ツイッターに悪口を垂れ流す?同期集めて悪口大会?どれも、それはそれで楽しいし筆者もついついやってしまうのだが、得てしてイライラしているときに悪口を言うと、それが巡り巡って相手の耳に届いてしまったり、あるいはストレス解消どころか悪口を言った負い目でますますイライラが募ったり。あるいは、文句を言われた上司がストレスを抱いて、翌日以降反撃に出たり...

とかくこの世は難しく、イライラを外に向けて解消させようとすると色々な形で弊害が生じる。

イライラを外に吐き出す代わりに、リフレ―ミングを試してみる

イライラを、上司本人にぶつけてみたり、友人や彼女に愚痴ってみたりするのもいいが、ここではリフレ―ミングという思考遊びを提起してみたい。

リフレ―ミングとは、自分の視座を意図的に現状の視座からずらしてみて、異なる視点から自分の状況を見つめ直してみるという試み。たとえば、

(例)上司が無能で、本来上司がやるべき仕事が自分に押し付けられてくる。イライラ
 
上記の例は、上司が頼りにならないという状況をもとにしており、そこから来るネガティブインパクトを「仕事が自分に押し付けられる」と捉え、結果としてイライラしている。

ここでリフレ―ミングを試みる。

上司が頼りにならないという状況には変わりがないが、そこでネガティブなインパクトを見ようとしている自分を客観視した上で、「では、ポジティブな面を探してみるとどうだろうか?」と思考実験してみる。すると、

・上司が頼りない結果、自分は本来出世しないとできないような責任度の高い仕事をできている
・上司が頼りない結果、自分が外部の有力者と直接コミュニケートできてしまっている
・上司が頼りない結果、自分が交渉をリードすることができていて、交渉スキルの向上が図れている

など、同じ「上司が頼りない」という出発点からでも、いろいろな明るい示唆を見出すことができる。そうすると、「本来上司がやるべき仕事が押し付けられているけど、本来は出世しないとできないようなチャレンジングな仕事ができてるから、まんざらでもないな」というように、現状を肯定的に捉えることができるようになる。そうするとイライラも多少解消して、結果としてその「押し付けられた仕事」の生産性が一層上がって高いパフォーマンスが出て、ほめられて、上司が立場を失ってザマミロ...という好循環モードに入ることができたりする。

リフレ―ミングの長所は、自分一人で解決することができる点にある。上の例では、上司と直接戦うこともなく、妻に愚痴を言って嫌われることもなく、壁にパンチして手を痛めることもない。自分の考え方をちょっと試しにいじってみるだけで、簡単にすっきりすることができる。

また、他人を変えることは難しいが、自分の考え方は自分の頑張り次第で簡単に変えることができるので、その点でも「変化度合/それに費やしたエネルギー」比でみても、その効果は抜群である。

リフレ―ミングの切り口いろいろ

上の通り、リフレ―ミングは便利であるので、色々な視座をもっておくと切り替えがしやすい。


  • ネガ/ポジ:物事のポジティブな面に光をあててみるとどうか
  • わたし/あなた:相手の立場になってみてみるとどうか
  • 自分/他人:第三者の立場で考えてみるとどうか
  • Takeaway:イライラする事象のなかから、無理やり教訓を取り出そうとするとどうなるか
  • 笑い:イライラする事象のなかから、無理やりオモシロポイントを取り出すとどうなるか
等。この手の切り口をもっておくと、イライラするようなことがあってもすぐにリフレ―ミングして、「まあ、でも、ちょっと見方を変えるとこれも笑えるよなぁ~」といった感じでむしろ面白くなり交感神経がONになったりする。

リフレ―ミングの罠

そんなリフレ―ミングも完璧ではなく、むしろやり過ぎることによる弊害もあると考えられる。

改善意欲の減退

リフレ―ミングに慣れてしまうと、ちょっといやなことがあってもリフレ―ミングによりすっきりしてしまい、事態を改善したいという意欲が薄れてしまう。その結果、本来は相手に言うべきことを言ったりすることできちんと事態改善を図るべきであったところ、何も改善せずに流してしまい、引き続き同じ問題が起きてしまったりする。

成長の停滞

多くの場合、イライラは、次のステップに進むにあたり必然的に発生する摩擦のようなものである。これまで作業的な仕事が多かったアソシエイトがディレクターになったことでソーシングの割合が増え、仕事がうまくいかずイライラしたりとか。

そういったとき、イライラはPDCAサイクルの一環のようなもので、本来そのイライラは仕事にぶつけることで改善が必要な場合が多い。しかし、そこで反省したり改善したりせずにリフレ―ミングしてすっきりしてしまうと、改善し損ねてしまう。これは非常に損である。実際、いかにもリフレ―ミングとか下手そうな不器用そうな人が、もがき苦しむけど、結果的に誰よりも成長するなんてことは周囲でも散見される。

「あくまで短期的な改善案だが、便利なツール」くらいに捉えて、その長所と短所を踏まえた上で活用すると、リフレ―ミングはもっともその効果を発揮するのではないかと思われる。