2013-02-23

ガイカワサキ的論法

自分の留学先の卒業式ゲストスピーカーとして来たGuy Kawasaki。

自分は彼のシンプルで整ったブログやスピーチが割合好きで、自分の卒業式で彼のスピーチを聞けたことにけっこう満足している。

彼は難しいものごとをシンプルに切り取ることを得意としており、たとえば卒業式では倫理について「自分がやりたくないようなことを、人に強いるな。倫理については、それだけ頭に入れておけばいいから」と言ってのけた。

自分はこの言葉が好きで、卒業以来、自分のモットーの一つとしてこの言葉を拝借している。やりたくないことは、人に頼まない。それを意識するだけで、結構自分に素直に生きられるものだ。

彼の言葉を「考えるヒント」として、あくまできっかけとして使うことができるのであれば、シンプルで骨太な彼の言葉は思考を展開するのに便利なものとなる。忙しい世の中にあって、自分が考えるべきことをスピーディーかつ深く考えることを助けてくれる。




しかし、彼のシンプルな論法は諸刃の剣だ。彼の言葉をきっかけではなく「解答」としてとらえてしまうとその罠に陥る。思考停止しがちな人間にとって、彼のシンプルな言葉は麻薬みたいなもので、深く考えずともすっと頭に入ってしまうので、あまり考えることなくものごとを済ませてしまう罠に陥りがちだ。

思うにこの「シンプルなメッセージで満足するか、シンプルなメッセージから深化させるか」というのはMBAの授業全般で考えるべき重要な問題であった気がする。たいていの授業では、わかりやすいTakeawayが準備されていて、それをなんとなしに聞き流すだけでも知的満足感を得られてしまう。しかし、そこで止まってしまうと大抵3日後にはすべてを忘れてしまうが、そこでシンプルに切り取られたエッセンスは思考を深めるのに有用である。なんというか、日本的授業よりも、「差が出やすい」、そんな印象をもっており、果たして自分は表面的にうわっつらをなめただけで終わってしまってはいないかと、ちょっと心配したりして・・