2013-01-15

グラフカラーリングにおけるルール9つ (+5)

Databison経由で、チャートの色遣いに関する面白いコラムを見つけた。


画期的というほど目新しい情報ではないのだけれど、基礎がうまく整理されているように思われたので、その主要なメッセージだけメモしておく:


  1. 同じ色を複数使う場合、背景は統一する:無駄に背景をグラデーションさせると、「灰色を背景とした赤いグラフ」と「白を背景とした赤いグラフ」では同じ赤でも読者の印象が大きく変わってきてしまいミスリーディング。
  2. 背景色には、十分にコントラストを効かせる:本文で書かれている例としては「黒字にダークグリーンの塗りつぶしとかはNGよ」というもの。ただ、これはグラフにも応用できて、ダークグリーンの棒グラフの背景を黒にはしちゃアカンよねとも言えるだろう。
  3. 色を使うのは、本当に必要なときだけに絞る:広告ではないので、装飾目的のカラーリングは不要。無用なカラーリングは、逆にメインメッセージのインパクトを削ぐ。
  4. 複数の色を使い分けるのは、その使い分けに意味があるときだけに絞る:複数のカラーリングが機能するのは、(1)特定の箇所を強調する (2)ひとまとまりの情報をグルーピングする (3)定量データと関連付けるときだけ。それ以外は単一色に統一してもワークする。
  5. 多くの場所ではソフトな色を使い、強調すべき箇所に限定して強い色を使う
  6. 定量データと色を関連づける場合は、単一色のなかで、濃度の調節により色を使い分ける:「1億円以上は青、それ以下は緑」とやるのではなく、「1億円以上はダークブルー、それ以下は水色」みたいな感じ。
    自分の感覚を追記すると、プリンタの性能にも限界があることや、場合によってはそれをグレースケール印刷することも踏まえると、色の階段は可能であれば1段ではなくて2段くらいつけておいた方が望ましいと思う。
  7. データ以外の部分は、見える範囲で最低限度の色付けとする:軸や目盛はデフォルトの黒からちゃんと灰色にするということ。
  8. 色覚異常の読者の存在を気にする場合は、赤と緑を同一チャートで使わないことが望ましい
  9. ビジュアル効果は不要:影とか、3D化とかは無用のミスコミュニケーションを呼ぶだけ(だし、時間も無駄)。

以上が原文記載の9つのルール。以下、カラーリング周辺の論点について、自分で思うことをいくつか追記したい:
  • フォントも必ず調節する:グラフのフォントは、何もしないとMSP明朝とかCalibriとかになって出てくると思うが、そのままにはせず、それを張り付ける本文(Word,PPT)のフォントを基に調整する。
  • 軸も調節する:軸の範囲とか、軸の書式とかにも気を払う。有名な例は「棒グラフなら、必ずゼロから始まるようにして、途中から始めない」とか。
  • グラフ作成とメッセージの絞り込みを断続的に繰り返す:コンサルチャート作成法本とかだと、「メッセージ策定→それをグラフに落とし込む」とあるが、正直自分はそこまで毎回毎回すっきりと整理できるわけではない。なので、自分は多くの場合
    「メッセージがいまひとつ見えていないけど、ひとまず虚心にグラフを作る」→「できたグラフを眺めたら、なんとなくメッセージが見えてきた」
    →「そのメッセージを主要メッセージと仮説立てて、全体のストーリーを再構築」
    →「その上で、グラフのレイアウト(どこを強調するか等)を再度微調整..」という再帰的なやり方をしている。
  • グラフ(図)に拘泥せず、チャート(表)も常に選択肢に入れる:特に自分が金融畑だからとは思うが、同じA4の紙があるなら、棒グラフふたつみっつで埋めるのもいいけど、Comprehensiveな原データ表を見やすく再配置した表で見せた方がコミュニケーションがスムーズにいくことが多い。
    もちろん、行の高さにゆとりを持たせるとか、表は表でいろいろと留意すべきことはあるのだけれど。。
  • 統一感を持たせる:1ページに2つのグラフ;左のグラフはフォントがArialで右のグラフはCalibri...とか、左は目盛が入っているのに右のグラフは目盛がない...とか、ちょっとしたそういう配慮不足が全体の印象を大きく損ねる。

Further Reading