2013-01-03

ベータの調整

Bloombergで使われている「調整後ベータ」って何ぞや?という話。

なお、参照しているのはArzac(2008)(→リンク)
この手の「一段細かい話」を学ぶのには最適な教科書。



ベータは月次とかの株式収益率をマーケットの収益率とぶつけて求めるが、ヒストリカルデータのあてはまりが悪いことが知られている。

で、実証的な立場から、ベータは平均(=1)に収束するという前提のもと、二つの調整モデルが広く受容されている:


  1. Blume model: 調整後ベータ=(1/3)(1)+(2/3)(ヒストリカルベータ)

    …第一項の1とは収束すべき平均値である1のこと。つまり、平均値たる1とヒストリカルベータで、ウェイト1:2の加重平均をしている。
  2. Vasicek model: 調整後ベータ=(w)(ヒストリカルベータ)+(1-w)(ベータ標本平均)
    ※wは、ヒストリカルベータとベータ標本平均の標準誤差の平方和で加重平均
Bloombergなんかでも、Raw betaにくわえてBlumeベータが出ているので、実務的には

  • CompsのAdjust betasを収集
  • アンレバリングしてそれぞれのAdjusted asset betasを計算
  • それを参考に対象会社のAdjusted asset betaを推計
  • そのAdjusted asset betaをCAPMに放り込んでr(E)を推計
という感じになろうか。