なお、参照しているのはArzac(2008)(→リンク)
この手の「一段細かい話」を学ぶのには最適な教科書。
ベータは月次とかの株式収益率をマーケットの収益率とぶつけて求めるが、ヒストリカルデータのあてはまりが悪いことが知られている。
で、実証的な立場から、ベータは平均(=1)に収束するという前提のもと、二つの調整モデルが広く受容されている:
- Blume model: 調整後ベータ=(1/3)(1)+(2/3)(ヒストリカルベータ)
…第一項の1とは収束すべき平均値である1のこと。つまり、平均値たる1とヒストリカルベータで、ウェイト1:2の加重平均をしている。 - Vasicek model: 調整後ベータ=(w)(ヒストリカルベータ)+(1-w)(ベータ標本平均)
※wは、ヒストリカルベータとベータ標本平均の標準誤差の平方和で加重平均
Bloombergなんかでも、Raw betaにくわえてBlumeベータが出ているので、実務的には
- CompsのAdjust betasを収集
- アンレバリングしてそれぞれのAdjusted asset betasを計算
- それを参考に対象会社のAdjusted asset betaを推計
- そのAdjusted asset betaをCAPMに放り込んでr(E)を推計
という感じになろうか。