2012-08-05

サンクチュアリ

留学中の猛勉強()で燃え尽き気味であり、小難しい本に食傷気味で、思い切り漫画とかを読みたい気分。ということで、ブックオフで『サンクチュアリ』をそこにあった8巻まで大人買い~。

一冊100円で、家のゆったりした環境でだいたい1~2時間はこの読書にあてる。2時間800円としても、なかなかコスパの高い遊び(しかもすぐ売れば一冊あたり10円くらいは戻ってくるのでは?)。

こうして読み返してみると、幼少時には読み取れていなかった各種メッセージみたいなものに結構胸が熱くなるので、その一部をメモ


「同じ夢を見たかった」


途中から合流した香港の黄。行動を共にしつつも、どうしても仲間を信頼しきれず、北条を撃ってしまう。で、最終的には死んでしまうのだが、部下だか仲間だかに残した最後の一言が北条たちに向けた「できればもっと早くお前たちと出会いたかった、そして、同じ夢を見たかった」というもの。

これを見て、自分が留学先で手を変え品を変え叩き込まれた「Play the same game」という言葉を思わずにはいられなかった。投資家と経営者、経営者と従業員、等々、ビジネスを成功させるためにはステークホルダー全員が同じ方向を向いていることが非常に重要であり、インセンティブのズレが生じないように人事制度や報酬制度などを設計すべきという考え方。留学先で叩き込まれて以来、Play the same gameが重要であるという考えを強く持っている自分であるが、どうやら甘かった、同じゲームどころか、同じ夢を見なくてはならなかったか...

夢を見ると言う話、半分冗談ではあるが、半分本気で考えるべきであろう。仮に自分が投資家や経営者の立場で皆のインセンティブをそろえる立場になったとしたら、小手先の人事制度設計だけ人事コンサルを雇いつつやればいいという話ではない。自分が自らを洗脳するくらいの勢いで、関係者全員に心からの言葉で思いを共有せねば成功はこころもとない。なんというか、最終的に全員の夢がそろっていなくても事業は回ると思うが、「全員の夢を揃える」くらいの意気込みで臨まないとPlay the same gameも難しいかもしれない。


「俺はもう引退く(ひく)」


北条達の攻勢をみるなか、神戸山王会の3台目トップは自身の老いを感じ、早いタイミングで引退しつつその地位を4台目の若い人に禅譲した。

この事例は興味深い。よく日本では老人ばかりが上にいて新陳代謝が悪いとかリーダーシップがどうとかいう話になるが、これは結局のところ、その組織に危機意識がないからと言うことなのだ。神戸山王会組長という最高権力者であってさえ、組織の危機を感じ、自身がその局面における最適任者でないと感じるや否や、多少のためらいはあっても実にスピーディに地位禅譲を行っているのだ。

ということで、サンクチュアリ的世界観が正しいとすれば、今後の日本の企業や政界においても、本当の危機に際しては、あまり心配せずとも、適切な形で年齢や性別など一切不問で最適任者がリーダーに選ばれるのではないだろうか。いまがそうでないのは、単に組織に危機感が足りないからではないか...という感想。